
Salesforceの変更管理・リリース管理ツール『Salesforce DevOps Center』のご紹介
こんにちは、クロステックサービス事業部所属のCです。
今回の記事では、Salesforceの大規模な開発・運用において、管理体制の強化や品質向上に役立つ機能『Salesforce DevOps Center』についてご紹介いたします。
本記事は、以下の記事にて紹介したSalesforce標準機能に関する内容を前提としております。本記事の内容をより理解するためにも、ご一読をお勧めいたします。
▼前回記事▼
⇒Salesforce標準機能『変更セット』とは?~仕組みと課題について~
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目次[非表示]
『Salesforce DevOps Center』の概要
『Salesforce DevOps Center』は、Salesforce公式から提供されている開発・リリース管理ソリューションであり、Salesforce環境におけるリリース管理を効率化するための機能です。
従来はSalesforce標準機能『変更セット』や手動デプロイに依存していた運用から、より可視性や再現性の高い開発体制への移行を支援します。

図1-1:『Salesforce DevOps Center』の画面(ホーム)

図1-2:『Salesforce DevOps Center』の画面(パイプライン管理画面)
『Salesforce DevOps Center』の導入によって、複雑な変更管理を伴うチーム開発における管理統制の強化や品質向上に対し、大きな恩恵が期待できます。
その恩恵を支える代表的な要素として、Salesforce公式提供の機能ならではの高い親和性と、GitHubなどのソースコード管理システムとの連携による変更履歴の詳細管理が挙げられます。
■Salesforce公式提供の機能ならではの親和性
『Salesforce DevOps Center』はSalesforceから公式に提供されている機能であるため、最初からSalesforceのデータ構造やリリースプロセスとの高い親和性があり、外部ツールと比べて導入に伴う追加コストや複雑な連携設定を抑えることができます。
更に、Salesforce公式によるサポートが受けられる点も、企業利用において重要な要素といえます。
■ソースコード管理システムとの連携による変更履歴の詳細管理
『Salesforce DevOps Center』は、GitHubやBitbucketというソースコード管理システムとの連携を行うことを前提とした変更管理を採用しているため、以下に挙げる品質と保守性を高める取り組みをSalesforce開発に取り入れることが可能になります。
- 変更履歴の明確化(誰が・いつ・何を変更したか)
- 開発単位ごとに変更を分離して管理することによる並行開発の実現
- 変更承認プロセスを用いたレビューおよび品質担保
これにより、Salesforce環境との親和性を持ちながらソースコード管理システムの機能を活用できるようになることで、従来の標準機能『変更セット』では難しかった履歴管理やレビュー工程の標準化と可視化が可能となり、管理体制の強化につながります
『Salesforce DevOps Center』における管理について
『Salesforce DevOps Center』とは、単なるデプロイ実行に限らず、開発から移行までの一連のプロセスを統合的に管理するための機能を備えています。
本項では、その中でも特に管理面で活用される機能である「パイプライン管理」「ソースコード管理システムとの連携」について紹介いたします。
■パイプライン管理
『Salesforce DevOps Center』では、開発から本番環境への移行までの流れをパイプラインとして定義し、各環境(開発・検証・本番)を段階的に管理することができます。
このパイプライン上では、環境ごとの状態ではなく、開発作業の中で作成や変更を行った資源をグループ化した作業項目と呼ばれる単位で進捗が管理されています。資源の変更履歴はソースコード管理システムにて管理し、『Salesforce DevOps Center』の操作では作業項目ごとに移行の進捗状況を管理して環境間移行を実施しています。

図2-1:『Salesforce DevOps Center』を用いたパイプライン管理イメージ
例として、以下のような形で進行します。
- 開発環境での変更作業を実施
- 変更内容を作業項目として登録
- 検証環境への移行
- 本番環境への移行
このため、開発作業の粒度を揃えた上で、影響範囲の把握ならびに進捗の管理が容易になります。
どの環境に何の作業項目が存在しているか、次にどの環境へ何の作業項目を移行すべきであるか、といった点が視覚的に表示されるため、従来では手作業での管理を行わなければならなかった進捗状況も、ツール上で一元管理されるようになります。

図2-2:『Salesforce DevOps Center』でのパイプライン表示例
これにより、リリース判断が行いやすくなるだけでなく、関係者間での認識ずれを防ぐことができます。
■ソースコード管理システムとの連携
『Salesforce DevOps Center』は外部のソースコード管理システム(GitHub、Bitbucket)と連携し、管理対象の資源をソースコードとして管理します。これにより、ソースコード管理システムの機能を活用し、以下のようなことができるようになります。
①細かい粒度で変更履歴を追跡
従来のSalesforce開発において、詳細な変更履歴を残したい場合は資源ごとに履歴が保管される設定をオンにしなければならず、追跡可能な数も限られているため、すべての資源に対して変更を追跡するのは困難でした。
ソースコード管理システムと連携することで、過去の変更に関する記録をさかのぼることが容易になり、さらにコミットされたすべての変更に対して細かな粒度で「どの資源を・いつ・誰が・どのように変更したのか」を正確に記録できます。
これらと『Salesforce DevOps Center』のパイプライン管理が合わさることで、「どの環境にどのような変更が移行されているのか」を把握することも容易になります。
②レビューと承認プロセスの標準化
連携したソースコード管理システムの機能を活用することで、資源の変更前後の差分を明確に表示した状態でレビューすることが可能になります。
より詳細な内容確認が可能になるとともに、移行にはレビュー者による承認を必須化することもできるため、移行する際は必ずレビューを経るように工程を遵守しやすくなります。
③変更の衝突を適切かつ容易に管理
ソースコード管理システムのバージョン管理機能や変更前後の差分確認機能を活用することで、複数人が異なる機能を同時に開発する時期が重なっても、変更の衝突を適切に管理できます。
更に、『Salesforce DevOps Center』のパイプライン管理によって、各変更の移行タイミングについても把握と調整が容易になります。
④障害時の復元をより詳細に対応
バージョン管理機能を活用することで、過去にさかのぼって変更履歴を参照し、任意の状態に戻すことが可能です。従来のSalesforce開発では最終更新の情報しか確認できませんでしたが、これにより、トラブル時の対応がしやすくなります。
Salesforce環境への適用に最適化されている『Salesforce DevOps Center』を用い、資源の変更差分管理や復元の機能が充実しているソースコード管理システムと連携することによって、Salesforce環境間の移行状況を把握しやすくしつつ、資源のより詳細な管理を実現することが可能となります。
『Salesforce DevOps Center』導入による利点と注意点
『Salesforce DevOps Center』は、リリース管理プロセスの高度化を実現するために有効なツールである一方で、導入にあたっては一定の準備や体制の整備が求められます。
本項では、導入によって得られる利点と、事前の注意点についてご紹介します。
■導入によって得られる利点
開発の大規模化や複数人による並行開発が進むにつれて、開発そのものだけでなく、進捗状況や変更内容を適切に管理することが求められます。
しかし、作業担当者ごとに異なる方法やタイミングで開発およびリリースが行われている場合、以下のような課題が発生しやすくなります。
- 『変更セット』や手動デプロイなど、リリース作業手順が担当者ごとに異なる
- 状況が担当者ごとに分離しているため、各作業の進捗状況やリリース状況が見えにくい
- 変更履歴や影響範囲の確認に手作業を要し、予期せぬ上書きを招きやすい

図3-1:従来のリリース作業のイメージ図
これらの課題に対して、『Salesforce DevOps Center』を導入することで、開発からリリースまでのプロセスをパイプラインとして定義し、作業項目ごとにリリースの進捗状況を可視化した上で管理できます。
また、ソースコード管理システムとの連携も含め、以下のような点で従来よりも便利になると考えられます。
- リリース作業手順の統一による属人化の解消
- 環境間の移行状況の可視化
- 詳細な変更履歴による追跡

図3-2:『Salesforce DevOps Center』を用いたリリース作業のイメージ図
結果として、作業者によらず一定の品質を担保しつつ、並行開発の状況を管理する際の利便性向上が期待でき、大規模なチーム開発においても安定した管理体制を構築しやすくなります。
■導入時の注意点
先述したように、『Salesforce DevOps Center』の導入によって得られる利点がある一方、従来の運用と比べ、注意すべき点も存在します。
従来の手法として代表的な『変更セット』を用いた運用の場合はSalesforce標準機能で完結しますが、『Salesforce DevOps Center』では以下のような準備が必要になります。
- 連携先ソースコード管理システムのリポジトリの用意
- 連携先ソースコード管理システムのリポジトリとの接続設定
- Salesforceの各環境との接続とパイプライン構築
- 権限や運用ルールの新設と整備
このため、初期導入時には一定の設計・構築工数が発生します。既存プロセスからの導入と移行においては、運用ルールの見直しも含めた検討が不可欠です。
更に、『変更セット』と比較すると機能が豊富になる分、操作や概念の理解に一定の時間を要します。
具体的な例としては、以下のような対応が必要です。
- ソースコード管理システム上でのバージョン管理に対する理解と教育
- 開発者の操作トレーニング
- レビュー担当者の役割分担
- 『Salesforce DevOps Center』を用いた新たな運用ルールの教育
導入初期は一時的に作業効率が低下する可能性もあるため、小規模な改修を対象にして基本的な操作やリリースまでの流れを学び、レビューや承認プロセスを定着させながら、『Salesforce DevOps Center』による移行対象の拡大を進めることが推奨されます。
まとめ
今回は、Salesforceの開発・運用の利便性向上の一手になり得る拡張機能『Salesforce DevOps Center』についてご紹介いたしました。
単なるデプロイツールには留まらず、GitHubやBitbucketとの連携による詳細な変更履歴の管理や、パイプラインを活用した進捗の可視化など、これまでのSalesforce開発では取り組みが難しかったリリース管理の効率化を実現できるツールです。
扱える機能が増えることで、GitHubリポジトリに関する知識や新たな運用フローへの理解が必要になりますが、導入初期の大変さを乗り越えた先でより効率的なリリース管理や品質向上といった効果が期待できるでしょう。
Salesforceの開発体制構築に携わっていく際の一助として、今回の記事が役に立てれば幸いです。
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引用元
Salesforce公式ヘルプページ
https://help.salesforce.com/s/Salesforce公式ヘルプ(概要)
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