
ローカルブレイクアウト(LBO)通信遅延を改善。基本概念とメリットについて
こんにちは。クレスコデジタルテクノロジーズのK.Mです。
今回は、クラウド利用やリモートワークの広がりで注目されている「ローカルブレイクアウト(Local Breakout, LBO)」について紹介します。
基本的な内容のご紹介となりますが、少しでも参考になりましたら幸いです。
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はじめに
クラウドサービスやリモートワークが広がり、企業ネットワークの使われ方は大きく変わっています。
従来は、各拠点の通信を本社やデータセンターへ集め、そこからクラウドサービスへ接続する構成が一般的でした。ただ、拠点や在宅勤務からのアクセスが増えると、通信の集中や遅延が起きやすくなります。
このような現状の改善策として、「ローカルブレイクアウト」が注目されています。
本記事では、ローカルブレイクアウトの基本概念について説明し、浮き彫りになった従来の企業ネットワークの課題がどのように解決されるのか記載します。
ローカルブレイクアウトの基本概念
従来の企業ネットワークでは、各拠点やリモートワーカーからの通信を本社やデータセンターへ集約し、そこからインターネットやクラウドサービスへ接続する構成が一般的でした。
従来の全トラフィックを「中央経由」で処理する構成が主流であったのは、セキュリティ対策を1箇所に集中させて一元管理できることや、各拠点に専用のセキュリティ機器を配置する必要がなく、コストを抑えられるといったメリットがあったためです。
一方で、クラウドサービスの利用拡大やリモートワークの普及により、本社やデータセンターに通信が集中しやすくなり、通信遅延や帯域不足といった課題が顕在化するようになりました。
そこで注目されているのが「ローカルブレイクアウト」です。
ローカルブレイクアウトとは、従来の企業ネットワークのように特定の通信を各拠点から直接クラウドサービスへ接続させる仕組みです。
本社やデータセンターを経由しないため、通信経路を短くできます。
簡潔に言えば、「遠回りをせず、最短ルートで目的地に向かう」イメージです。
従来のネットワーク構成の課題
コロナ禍を機にクラウドサービスの利用やリモートワークが普及する一方で、従来のネットワーク構成では課題いくつかの課題が出てくるようになりました。
① 遅延によるパフォーマンスの低下
全トラフィックがオフィスやデータセンターに集中するため、クラウドサービスへの依存度が高まると遅延が発生しやすくなります。
特にVPN経由で全データをオフィスネットワークにバックホール(一旦戻す)する構成では、ボトルネックが生まれやすくパフォーマンスが低下します。
② 通信の集中と混雑
クラウドサービスの利用が急増したことで、企業ネットワークのトラフィックが大幅に増加しました。
併せてリモートワークが普及したことにより、動画会議や大容量ファイルのやり取りが日常化しています。
従来の企業ネットワークは、オフィス内のサーバーやアプリケーションに最適化されていました。
そのため、リモートからの高負荷なデータ転送には対応しきれない場合があります。
WANの帯域が逼迫し、混雑が発生し遅延や接続不良を引き起こすケースが目立ちます。
③コストの増加
急増するトラフィックに対応するには、VPNサーバーや回線といったインフラの増強が必要となります。
しかし、既存インフラを無理やり拡張すると運用コストが膨らみます。

ローカルブレイクアウトのメリット
ローカルブレイクアウトは上述した「遅延によるパフォーマンスの低下」「通信の集中と混雑」「コストの増加」といった課題に対して以下のようなメリットがあります。
① 遅延の軽減
各拠点から直接クラウドにアクセスすることで、トラフィックの経路が効率化され、遅延が減少し、通信速度が向上します。
これにより、クラウドサービスやインターネットベースのアプリケーションのパフォーマンスが向上し、利用者が快適に使いやすくなります。
②通信負荷の分散
本社やデータセンターを経由するトラフィックが減少するため、ネットワークの負荷が軽減され、限られたWANの帯域幅を効率的に利用できます。
これにより、ネットワークの混雑が防がれ、全体として通信が安定しやすくなります。
③コストの最適化
本社やデータセンターといったネットワークの中央となるインフラの増強が不要となり、運用コストを抑えることができます。
また、リモートワーカーの増加や新拠点の追加への対応が容易となるため、ネットワークの柔軟性を向上させることができます。
ローカルブレイクアウトの仕組み
ローカルブレイクアウトを実現する方法は複数ありますが、代表的な手段の一つが「SD-WAN」です。
SD-WANは通信を本社やデータセンター経由にするか、各拠点から直接インターネットへアクセスさせるかを判断・制御する機能となります。
従来のWANは、専用回線に依存し、通信経路が固定された変えにくい仕組みでした。
これに対し、SD-WANはソフトウェアによる制御を活用し、専用回線やインターネット回線など複数の接続手段を統合することで、通信経路を状況に応じて切り替えます。
この柔軟な制御の一つが「アプリケーション・アウェア・ルーティング(Application Aware Routing)」です。
この機能はパケット解析技術(DPI など)を用いて通信が「どのアプリケーションから発生しているものか」を識別し、各回線の遅延やパケットロスといった通信品質をリアルタイムで監視ししながら、アプリケーションごとに最適な通信経路を瞬時に判断します。
例えば、「高品質な専用回線」と「安価なインターネット回線」を併用する構成において、中央の管理画面から「Web会議の通信は専用回線を優先する」といったルールを一括で設定することが可能です。
万が一、専用回線で一時的な品質低下が発生した場合でも、ソフトウェアがそれをリアルタイムに検知し、人手による操作を介さずに通信をインターネット回線へ自動的に迂回(フェイルオーバー)させます。
さらに、回線品質が回復すれば、元の最適なルートへ戻すといった制御も行えます。
このようなソフトウェアによる動的なルーティングは、従来のWANが抱えていた高コスト、構成の硬直性、パフォーマンス不足といった課題を克服します。
このようにSD-WANは、ローカルブレイクアウトを効率的かつ柔軟に実現する代表的な手段の一つとして活用されています。
まとめ
今回は、ローカルブレイクアウトの基本とメリットを紹介しました。
ローカルブレイクアウトは、従来の企業ネットワークが抱える通信遅延や帯域不足の改善につながり、「リモートワークやクラウド時代に適したネットワークモデル」として注目されています。
未来志向のネットワーク戦略を実現する手法の一つとして、ローカルブレイクアウトは重要な一歩となりますので、本記事が興味をもっていただくきっかけになりましたら幸いです。
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