
「HPE Juniper Networking Mist」を活用した位置情報サービスの事例
こんにちは。クレスコ・デジタルテクノロジーズの杉原です。
近年、無線アクセスポイントを活用した屋内位置情報サービスが、国内外で大きな注目を集めています。
なかでも、HPE Juniper Networking Mist のクラウド型ネットワークソリューションは、AI を使ったネットワーク運用の最適化と、高精度な位置情報取得を同時に実現できる点が特徴です。
Mist の魅力は、AI による運用自動化と、無線アクセスポイントによる正確な位置情報サービスにあります。
本記事では、海外で広がっている活用事例をもとに、Mist の特徴や導入のヒントをわかりやすく紹介します。
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目次[非表示]
高精度な位置情報を測定する仕組み
HPE Juniper Networking Mist の無線アクセスポイントには、16 個の vBLE(virtual Bluetooth Low Energy)アンテナが内蔵されています。
これらのアンテナはソフトウェアで制御され、8 方向にビームを向けて信号を送信します。アクセスポイントは、スマートフォンや BLE タグから届く信号の角度を測定し、どの方向から発信されたものかを高い精度で特定します。
従来のBLEビーコン方式では、建物の中に多くの物理ビーコンを設置する必要がありました。
しかし、Mist ではアクセスポイントだけで仮想ビーコンを生成できます。
BLE の送信パターンを時間的に切り替えて発信することで、物理的なビーコンを設置しなくても位置情報サービスを提供できます。
なお、BLEは非常に低消費電力で動作する Bluetooth センサー技術を指します。
(画像:vBLEアンテナアレイ図)
引用元
Auto-Provision Device Names, Sites, and Device Profiles | Mist | Juniper Networks
vBLEとスーパー・ビーコンが実現する来店体験の革新事例
アメリカの大手小売店では、Mist の無線アクセスポイントを使い、入店通知や屋内ナビゲーションを導入しています。
店舗の入口に設置されたアクセスポイントは「スーパー・ビーコン」と呼ばれる強力な信号を送信し、来店者のスマートフォンアプリへ自動通知を送ります。
全アンテナの位相を揃える
特定方向での電波の強め合いや打ち消しを発生させない
電波がまんべんなく広がるように調整する
この結果、電波は「球状に広がる」パターンになります。通常の8方向ビームは狙った方向以外では電波が弱くなります。そのため、来店者の進入方向が一定でない場所には向きません。
一方、スーパー・ビーコンであればどの方向から来ても同じ強さで信号を受信できるため、スマートフォンがスリープ状態でも検知されやすく、混雑時でも取りこぼしが少なく確実に通知が届きます。
さらに、店内の主要通路に設置したアクセスポイントと vBLE 技術を組み合わせることで、目的の商品棚まで誘導する屋内ナビゲーションも実現できます。
【スーパー・ビーコンの役割】
通常の8方向ビームとは異なり、スーパー・ビーコンは広範囲に確実に届く無指向性の信号を送信します。
これにより、次のような機能が可能になります。
入店時にスマートフォンアプリを自動起動
店舗アプリへのプッシュ通知を確実に届ける
屋内ナビゲーションの開始トリガーとして動作
従来の BLE ビーコンでは実現が難しかった「確実なアプリ起動」を実現できる点は、店舗体験の大きな向上につながります。
さらに、vBLE による方向推定とアクセスポイントの配置情報をもとに、目的地までのルートをリアルタイムで計算します。ユーザーはアプリを開くだけで、商品棚まで迷わず案内される仕組みです。
Bluetoothベースのロケーションサービスの有効化手順は、以下の通りです。
Mistポータルの Organization > Site Configuration>Site
(画像:Bluetooth based Location Services設定画面)
【Bluetooth based Location Services】
設定項目の説明は次の通りです。
・vBLE Engagement
無線アクセスポイントは8方向のアンテナでBLE信号を送信し、屋内でのナビゲーションを可能にします。
利用例:店舗内で特定の売り場まで案内する機能。
・AppWakeup(Option)
無線アクセスポイントが「スーパー・ビーコン」を送信し、入店時にSDK対応アプリへ通知します。
通常の8方向アンテナは位置精度を重視したビーム送信ですが、スーパー・ビーコンは信号を「広く、確実に」届けるために使われます。これにより、アプリ通知やトリガーイベントが確実に発生します。
・Asset Visibility
BLEタグ付きのデバイスを検出し、追跡します。
利用例:機器管理、占有状況の把握、スタッフ配置の確認など。
傾向分析のためのゾーン設定事例
大規模なキャンパスや入り組んだ施設では、利用者が迷わず目的地へ向かえるように、AR/VRを活用したナビゲーションが求められています。
この事例では、施設中央にある「ベビー服」や「メンズ衣料」などの売り場を分析用のゾーンとして定義します。
ゾーンに入った利用者の位置は、X・Y 座標としてリアルタイムにシステムへ送信されます。これにより、分析エンジンが利用者の動きを正確に把握し、売り場レイアウトや販促施策の改善に活用できます。
(画像:ゾーンアナリティクス用のエリア定義)
ARアプリを通してカメラ映像を見ると、Mist SDKが現在地を示す「青色のブルードット」を表示します。これにより、下記のような直感的なナビゲーション体験が実現します。
ターンバイターンのルート案内
立ち入り禁止エリアへの侵入警告
フロアをまたぐ移動ガイド
上記は小売店に限らず、工場・大学キャンパス・病院など複雑な設計を持つ施設で大きな価値を発揮します。
さらにこの事例では、倉庫内で従業員が誤って置き忘れてしまうパレットなどの資材を簡単に見つけられるよう、資産追跡の仕組みも活用しています。
対象物にはBLEビーコンタグを取り付けておくことで、従業員はMistポータルの「ライブビュー」画面から資産の現在位置をすぐに確認できます。
引用元
Auto-Provision Device Names, Sites, and Device Profiles | Mist | Juniper Networks
AR・VRを活用した案内システム事例
AR(拡張現実)や VR(仮想現実)を使った屋内ナビゲーションは、広い施設や複雑なレイアウトの場所で役立ちます。Mist の位置情報サービスを利用すれば、スマートフォンのカメラ映像に案内情報を重ねて表示でき、利用者は直感的に目的地へ移動できます。
Mistの位置情報サービスを利用すると、無線アクセスポイントを基盤に、AR・VRナビゲーションをアプリへ手軽に組み込むことができ、利用者はスマートフォンのカメラ映像にルート案内が重ねて表示されるため、直感的に施設内を移動できます。
この機能を利用するには、Mistのユーザーエンゲージメントサブスクリプションと、アプリ開発者向けの Mist SDK(アプリやシステムを開発するためのツール)が必要です。これらを組み合わせることで、既存のモバイルアプリやマップアプリに「ブルードット案内」を統合でき、以下のような動作を実現します。
- パートナーアプリ:AR・VRを使った案内画面を提供
- Mist SDK:ユーザーの現在位置を示す「ブルードット」を表示
■ 大規模キャンパスで活躍するナビゲーション機能活用事例
- 複数の建物やフロアがあるキャンパスは、案内の精度が特に重要です。
- AR・VR ナビゲーションを導入すれば、以下のようなメリットがあります。
・従業員の場合
- 倉庫内で特定の品物を探しやすくなります。
- 普段利用しない建物へ移動するときも迷わず進めます。
・ 訪問者の場合
- 会議室やオフィスまでスムーズに移動できます。
- 誤って立入禁止エリアに入るのを防げます。

(画像:利用イメージ)
引用元
AR and VR Wayfinding Use Case | Mist | Juniper Networks
アクセスポイントのデイジーチェーン接続事例
屋内でターンバイターン方式のナビゲーションを実現するには、長い廊下でも vBLE(仮想 BLE)信号を安定して届ける必要があります。
そのためには、無線アクセスポイントは 約 10〜15 メートル以内 の間隔で配置することが推奨されています。
しかし、長い廊下が多い施設ではアクセスポイントの数が増え、配線工事やスイッチポートの不足が課題になります。
こうした課題を解決するために役立つのが、BLE 専用モデルである BT11 のデイジーチェーン接続機能です。
BT11 はMist の位置情報サービス用途に向けた費用対効果の高いアクセスポイントで、既存の無線 LAN に追加するケースでも導入しやすいモデルです。
BT11 は 1つのスイッチポートで最大 4 台 のアクセスポイントへ給電できます。
1台目:スイッチに直接接続
2~4台目:BT11 からデイジーチェーンで連結
この構成により、追加のスイッチポートを消費せずに BLE のカバレッジを広げることができます。
結果として、長い廊下を多く持つ施設でも、工事コストやスイッチポート使用量を大きく削減できます。
(画像:接続イメージ)
設置前に計画すべき内容は次のとおりです。
- セル設計:BLEのカバレッジと位置精度を確保するため、無線アクセスポイントの配置を計画します。
- PoEパススルーの有効化:最初のアクセスポイントから他のアクセスポイントへ電力を供給できるように設定します。
- 接続方法:最初のBT11をLLDP対応スイッチ、または30WのPoEインジェクタに接続します。
- デイジーチェーン接続:最大3台までの無線アクセスポイントを連結します。
注意事項
15WのPoEインジェクタやLLDP非対応スイッチの場合、接続できるのは最大2台までに制限されます。
ケーブルが長い場合、100 メートルごとに約 4.5W の電力が失われるため、設置場所には注意が必要です。
- スイッチポートでMACアドレス制限がある場合、デイジーチェーンする台数に合わせて上限変更が必要です。
まとめ
Mistのビーコンを使用して高精度な位置情報サービスを提供するvBLE技術は、従来のBLEビーコンでは難しかった「高精度」「低コスト」「高信頼性」を実現します。
- アンテナアレイとAoA技術で、1〜3m の高精度な位置測定が可能
- スーパー・ビーコンで、確実にアプリを起動
- クラウドのAI解析で、詳しいデータ分析を提供
- ARやVRを使い、移動中にわかりやすく没入感のあるナビゲーションを実現
- デイジーチェーンで、低コストで広い範囲に展開可能
施設案内や動線の最適化、資産管理を考えている場合、Mist の導入は大きなメリットがあります。
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このブログを読んで Mist に興味を持っていただけたらうれしいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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