
オフィスの無線LAN導入で迷わない!法人向け無線アクセスポイントの選び方とWi-Fi7での進化
こんにちは!クレスコ・デジタルテクノロジーズのわたろうです。
フリーアドレス制の導入やコワーキングスペースの活用など、オフィスでの働き方はますます多様化しています。 それに伴い、通信環境にも柔軟性が求められるようになり、多くの企業で無線LANの導入が進んでいます。しかし、豊富な選択肢の中からどの製品を選べばよいか、迷われるケースも少なくありません。
そこで本記事では、法人向け無線アクセスポイントを選ぶときに押さえておきたいポイントについて紹介します!さらに、最新のWi-Fi規格であるWi-Fi 7が従来の規格からどのように進化したのかについても解説します。皆様の製品選定の参考になれば幸いです。
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目次[非表示]
まず押さえたい!無線アクセスポイントの役割
製品を選ぶときには、その製品がどんな役割を持っているのかを理解しておくことが大切です。
まずは、無線アクセスポイントの基本について整理していきましょう。
無線アクセスポイントとは?
無線アクセスポイントの役割を一言で表すと、「有線ネットワークと無線端末の橋渡し」です。
無線アクセスポイントは、スイッチやルータなどのネットワーク機器にLANケーブルで接続し、自ら電波を発信します。
その電波をPC・スマートフォン・タブレットといった無線端末に届けることで、ネットワークアクセスを実現します。
図:無線アクセスポイントの動作イメージ
Wi-Fiルータと何が違うの?
家庭用のWi-Fiルータは、ルータ・スイッチ・無線アクセスポイントの機能をひとつにまとめた製品です。一見すると、Wi-Fiルータがあれば無線アクセスポイントは不要に思えますが、法人環境では事情が異なります。
法人環境では、広いオフィスや複数のフロアに電波を届ける必要があるうえ、接続端末数や通信量も大きくなります。さらに、高度なセキュリティ機能や柔軟な通信制御が求められることも少なくありません。
そのため、法人環境では、複数台の無線アクセスポイントを適切に配置・設定することで、安定した無線LAN環境を実現するのが一般的です。
無線アクセスポイントの利用シーン
無線アクセスポイントは、オフィスや学校、イベント会場、カフェなど、多数のユーザーが同時にネットワークに接続する環境で活用されます。また、フロア内を移動して行う会議で用いるノートPCや、工場や倉庫で使われるIoT端末やセンサーなど、有線LANだけでは敷設や接続の柔軟性から対応が難しい状況においても利用されています。
図:無線アクセスポイントの利用シーン
無線アクセスポイントの役割について、イメージをつかめたかと思います。
それでは次に、法人向けの無線アクセスポイントを導入・選定する際に押さえておくべきポイントについて確認していきましょう。
法人向け無線アクセスポイント選定時のチェックポイント
無線アクセスポイントは、単にたくさん置けばというものではありません。
快適で安定したネットワークを実現するためには、設置環境や求める性能に合わせた製品を選ぶことが大切です。ここでは、無線アクセスポイントを選定する上で押さえておきたい代表的なポイントについて紹介します。
接続端末の数
まずは、無線通信を行う端末の数を確認しましょう。
ノートPCやスマートフォンはもちろん、プリンターやIoTデバイスなど、思った以上に多くの端末が無線通信を行っています。
※一般的には、1台の無線アクセスポイントで30~50台程度の端末を同時利用できます。
設置環境
次に、無線アクセスポイントを設置する環境について確認してみましょう。
具体的には、フロアの広さや形状、壁や柱の材質、間仕切りなどの電波を妨げる要素の有無などです。
無線に接続する端末の台数が少なくても、電波が届かなければ通信はできません。
必要に応じて追加設置を検討しましょう。また、天井への設置が可能かどうかも、電波の広がり方に大きく影響する重要なポイントです。
適切な設置台数や配置を判断するためには、事前にサーベイを実施して電波の届き方を確認することをおすすめします。
図:電波測定のイメージ
無線アクセスポイントの選定や設置に不安がある場合は、ぜひ当社の「ネットワーク調査サービス」や「無線LAN導入支援サービス」をご活用ください。オフィスの規模やご要望に合わせて、最適なご提案・設計・導入・運用までワンストップでサポートいたします。
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給電方式
電源方式も大事なポイントです。
無線アクセスポイントには大きく分けて、ACアダプタ方式とPoE方式の2種類の給電方式があります。
- ACアダプタ方式
コンセントから直接電源を取る方式。小規模オフィスや家庭でよく使われる。 - PoE方式(Power over Ethernet)
LANケーブルで電力と通信を同時に供給する方式。PoEスイッチやPoEインジェクターを用いて給電することが多い。
機種によっては、対応している給電方式が限られている場合があるので、設置環境に合った機器を選ぶ必要があります。また、PoE方式の場合は、給電機器の規格が無線アクセスポイントの必要とする給電容量に合ったものであるかどうかを、事前に確認しておきましょう。
※代表的なPoE規格としては、IEEE802.3af(PoE、最大15.4W)、IEEE802.3at(PoE+、最大30W)、IEEE802.3bt(PoE++、最大60/90W、Typeによる)があります。
高機能な無線アクセスポイントでは、より大きな給電容量を必要とする場合があるため、利用する機器に応じて給電機器を選定することが重要です。
Wi-Fi規格
Wi-Fiは規格ごとに利用周波数帯や通信速度、同時接続可能な端末数が異なります。
無線を利用する端末の数や通信用途に応じて、最適な規格を選択することが大切です。
無線アクセスポイントを選定する上での代表的なポイントについて紹介しました。
次は、最新規格であるWi-Fi 7で進化したポイントについて解説します。
知っておきたいWi-Fi 7での進化
Wi-Fiは、1999年にIEEE802.11aが標準化されて以降、数年ごとに新しい規格が登場しており、通信速度や同時接続できる端末数、セキュリティの強化といった面で進化を続けてきました。
ここでは、最新規格であるWi-Fi 7で新たに追加された機能について紹介します。
Wi-Fi7の特徴
まず、従来規格とWi-Fi7の主な違いは下表のようになります。
規格名 | 最大速度 | 利用周波数帯 | 最大 | 最大 | 変調方式 |
---|---|---|---|---|---|
Wi-Fi 5 | 6.9 Gbps | 5GHz | 4×4 | 160MHz | 256-QAM |
Wi-Fi 6/ | 9.6 Gbps | 2.4/5/6GHz | 8×8 | 160MHz | 1024-QAM |
Wi-Fi 7 | 46 Gbps | 2.4/5/6GHz | 16×16 | 320MHz | 4096-QAM |
表:Wi-Fi規格の比較
新しい規格ほどスループットが向上していることがわかりますが、
Wi-Fi 7では以下のような機能も実装されています。(一部抜粋)
- MRU(Multi-RU)
複数のResource Unitを同時に利用することで、より多くの端末が効率的に通信できるようになります。 - Block Ack圧縮
データ送信後のACK応答を効率化し、通信のオーバーヘッドを減らすことで、通信遅延を抑えます。 - MLO(Multi-Link Operation)
複数の周波数帯(例:2.4GHz、5GHz、6GHz)を同時に利用して通信を行う機能です。
これにより、ネットワーク負荷が高い場合でも複数のリンクにトラフィックを分散でき、速度の安定化や通信遅延の低減を実現します。
これらの機能により、Wi-Fi 7では単純な速度向上だけでなく、多くの端末が混在するオフィスやコワーキングスペースであっても、安定した高速通信を実現できるようになっています。
図:Wi-Fi7の主な機能
Wi-Fi7製品導入時の注意
ここまで、Wi-Fi 7の特徴を紹介してきましたが、導入時には以下の点に注意する必要があります。
- クライアント端末の対応状況
Wi-Fi7で通信を行うためには、無線アクセスポイントだけでなく、PCやスマートフォンなどのクライアント端末もWi-Fi7に対応している必要があります。現状、対応端末は多くなく、価格も比較的高めです。 - 回線速度
Wi-Fi 7は高速通信が可能ですが、アップリンク回線やスイッチの帯域が十分でない場合、ボトルネックが発生する可能性があります。ネットワーク全体を確認し、通信を妨げる要因がないか事前に確認することが大切です。
Wi-Fi 7対応の無線アクセスポイントを導入する際には、周囲の端末やネットワーク構成も含め事前に十分な検証を行い、想定外のトラブルを防ぐことを心がけましょう。
まとめ
無線アクセスポイントの導入にあたっては、「速度が速い」「価格が安い」といった表面的な要素だけで判断するのではなく、オフィス環境や利用する端末の種類、社員の働き方、さらには将来的な拡張性や運用負荷までを総合的に考慮することが重要です。本記事が皆様の無線アクセスポイントを選定する際の視野を広げ、より快適で安定した通信環境を実現するヒントとなれば幸いです。
「自社に最適な無線LAN環境を構築したい」「最新のWi-Fi 7を導入したい」「現状のネットワークに課題がある」など、どんなご相談でもお気軽にお問い合わせください。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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